手作りでTシャツを作ってみた(夫婦編)

前回はじめてのTシャツづくりを取材して感じたことは「意外とTシャツは気軽に作れる」ということが分かりました。しかもクオリティが高いものが作れるなんて! いろんな人たちにTシャツづくりの面白さ、それを気軽に体験してもらいたい企画「手作りでTシャツを作ってみた」ですが、2回目は前回インタビューに登場いただいた森永さん、そして増澤さんのご夫婦で、Tシャツづくりを体験していただいた模様を取材しました。

最初に必要なこと


今回もTシャツづくりを体験してもらう前に大事なデザインの話から。このデザインが決まれば50%以上の作業が完成したと言っても過言ではありません。今回はご夫婦で体験していただくので、デザインも2通り必要になります。森永さんそして夫である増澤さんにデザインを考えていただきました。どちらがどちらのデザインを考えたのかは、言わずもがな、そのデザインで判断いただけると思います。

このお二人の作ったデザインを元に製版する際に必要なシルクスクリーンを作っていきます。今回も作っていただいたデータを微調整をしてシルクスクリーンを作りました。

実際にTシャツを作る工程


Tシャツづくりに関しては、こんな道具を使って作っていきます。まずTシャツ。そして最も大切なシルクスクリーンに、Tシャツづくり用のインク。インクをすくうためのヘラと、ヘラですくったインクをおき、それをシルクスクリーンを使い、Tシャツにインクをのせる道具のスキージ。手作りTシャツはこんな道具たちを使って作っていきます。

始めるにあたり、まず実際に制作している動画を見ていただきました。


どうTシャツを置いて作業するのか、スキージをどう動かすと失敗しないかなど、動画で念入りにチェックをしていきました。「え?これ本当にできるの?」「本当に簡単?!大丈夫かな……」と画面に食い入るように見ていました。

今回は一度別の生地で練習をしてみてから、Tshirt.st のTシャツを使用する方法を取ることにしました。ちなみに今回もTシャツの触り心地について聞いてみたところ、

「すごく生地がしっかりしてますね~」

と、好感触かつ好印象な雰囲気の中スタートしていきます。

しっかりと動画で制作工程を確認したあとは、ひとりずつのTシャツづくりを開始です。

同時ではなく、ひとりずつ行うことで、双方に工程への気づきが起き、より出来が良いTシャツづくりに生かされていくのでは……ということでまずは森永さんから(夫婦間では森永さんのほうがどちらかといえば器用、ということのようです)。

まず練習生地でのTシャツづくり。いきなりドンっとやらず、Tシャツとシルクスクリーンの位置合わせを慎重におこない、インクを付けない状態で一度、スキージをシルクスクリーンにあててみる動きのシミュレーションも行ってイメージトレーニングです。

練習段階では黒一色で塗ることに。スキージの上にインクをのせていきます。スキージの上にいったん黒インクをざざっとのせたあと、ヘラでスキージ全体に均一インクが乗るように念入りに伸ばしている作業が印象的でした。確かにここで均一化しておけば、色ムラをある程度減らすことが出来ます。

そして、意を決して一気にスキージをシルクスクリーンに落としプリントしていきます。

手元に引く前に、インクをなじませるようにシルクスクリーンの上でスキージを無効に手前にと少しぐにぐにして、一気に引いていきました。


一度一気に下までシルクスクリーンにインクをのせたあとは、1回でうまくインクをのせられなかった場所を再びスキージで1方向にこすり、シルクスクリーン上を黒で埋めていきます。初めての挑戦だと、どのくらいの塩梅でやるのがベストなのか探り探りやっていく必要があり、森永さんも3回ほど調整しながらスキージを上から下まで動かしていました。

はたして最初の出来栄えは上手くいったのでしょうか。

ほぼ完璧に近い出来栄えに


シルクスクリーンを両手で持って一気に引き上げTシャツから剥がします。そうするとシルクスクリーンの下にはきっちりと森永さん自身がデザインしたものがプリントされていました。もう何回もやってきた人なんじゃないか、と思えるほどキレイにそのデザインはプリントされていました。思わず拍子抜けしちゃいそうなぐらい最初のTシャツづくりは上手くいきました。「なんか、練習で既に結構きれいにできちゃいましたけど……」と感心しています。

しかしTシャツはうまく出来ても、このあと大切になってくるのが、即座にシルクスクリーンをきれいにする作業です。

森永さん曰く「すごく地道な作業かも」と語るほど、シルクスクリーンをキレイに掃除するのは、地味に重労働な作業だったりします。

しかしながら、プリント後に放置していると、使ったインクが乾き、根詰まりを起こしてしまい二度と使えなくなってしまうのです。本来ならTシャツさえあれば、何回も同じデザインをプリントできるシルクスクリーンだからこそ、何よりもクリーニング作業が重要になってくるのです。

今回も水で濡らしたティッシュを使って、しっかりとシルクスクリーンを拭いていきました。そしてその作業をしているあいだに、次は増澤さんがTシャツ作りにチャレンジします。

最初のTシャツづくりを踏まえ、アレンジがはじまっていく

今回のTシャツづくり、森永さんのデザインは縦に長く、増澤さんのデザインは横に長かったため、それぞれのデザインに対応した幅の広いスキージと狭いスキージが同梱されていました。先にTシャツづくりをおこなった森永さんからの「スキージは短いほうが力加減が安定して上手くいくんじゃないか」アドバイスにより、増澤さんはTシャツとシルクスクリーンを90度回転した形でチャレンジしてみることになりました。

この時点で手本になる解説動画の手法から離れ始めた二人。自分たちで考えてやってみようというアレンジがここからはじまっていきました。でもそれが自分たちで楽しくTシャツづくりをやるって醍醐味であるし、そこからまたオリジナルで味のある作品が生まれていくのです。

それって一番楽しくてワクワクすることじゃないですか。真似するところから学ぶことは始まるわけですが、そこからさらにアレンジすることで面白さが増していきます。


今回は黒のほかに水色と紺色のインクがあり、増澤さんは紺色をまず選びました。

森永さんのときと同様に、スキージの上で均一になるように紺色のインクをのせていきます。スキージにインクをのせていく手順って手作りTシャツづくりでは何気ない風景なんですが、この一連の所作のなかで意味を感じ取りながら作業をしている増澤さんの非常に印象的な場面でした。


本来は大きなスキージを使うところ、小さなスキージを使ってインクをシルクスクリーンの上にのせていきます。Tシャツが横向きだったり、本来はこのスキージじゃない。みたいなところ以外は特に初見の人が見たら気づかない程度のカスタマイズで進行していったわけです。このあともう一度インクをのせるときの対応が面白かったのです。



なんと手前から向こう側へスキージを返していったのです。初めて見る光景でした。たしかに出来なくはない動きではあるものの、「お、なるほど、そういうやり方もありますね」と思うようなやり方でした。インクの量じたいは多からず少なからずといった様子でした。


出来栄えは、もう完璧に近いTシャツが出来上がりました。小さな星の部分まで、ほぼ完全に再現された出来栄え。ひとまず練習も兼ねて行った最初のトライは非常に幸先よい形でした。最初からうまく出来た原因は、インクの量が多すぎず少なすぎずだったこと、スキージにインクをのせたときに、出来るだけ均質化していたことが良かった可能性があります。

これから2回目のトライになるわけですが、今回はインクを増やしたことを存分に生かした手作りTシャツづくりが、行われることになりました。これぞTシャツを手作りでする醍醐味かもしれません。

今回の真骨頂はここからだった


今日はせっかくインクが3色あるから……とと考えた末に森永さんがたどり着いたのは「思い切って2色使って作ってみよう」という試みでした。もちろんこの時点では、大いに失敗するリスクもあるのは確かでした。でもシルクスクリーンプリントの仕組みから考えて、こうインクを配置すれば良い結果を生むんじゃないかと逆算したようで、なんと水色と紺色のインクをスキージにではなく、シルクスクリーンの方にヘラで直接おいていきました。

この時点で説明動画からは完全にかけ離れてしまっており、大いにリスクがあるのですが、勝りうるのは好奇心とばかりにどんな結果になるのか分からないまま、こうなるだろうという仮説を頼りにインクが載せられていきました。

紺色と水色のインクをシルクスクリーンの柄の上部に交互に配置し、そこからスキージを使って一気にインクをTシャツのボディに浸透させていきます。


スキージを引ききると、きれいな縦縞の層が現れ、もしかしてこれはすごくいい感じのものが出来るかもしれない……という期待感が出る見栄えです。しかしシルクスクリーンを持ち上げてみないと、本当に良いものが出来ているかわからないのが、手作りの一番面白い部分であり、一番ドキドキする部分でもあります。さて、一体どんなTシャツが出来上がったのでしょうか?

最高の結果が

シルクスクリーンを上げたあとに現れたTシャツは、見事なグラデーションになった味のあるものでした。手作りだから出来る質感とオリジナリティがそこにはありました。正直ここまで上手く出来たのが信じられないくらいで、手軽かつ独創性を入れてもこれだけ味があるものが出来るTシャツづくりは最高だ!と言わざるを得ない展開です。

そしてこの結果を受け、このあと増澤さんもさらに難易度が高いと思われるやり方でTシャツづくりを行います。しかし1回目のトライで何かを掴んだようで、それがいかんなく発揮されるのでした。

すべてのインクを使って


増澤さんは黒・水色・紺色すべてのインクを使いました。もはや何か別の職人のような佇まいのある姿勢で、インクをシルクスクリーンの上においていきます。まだおいている段階ではその意図が分からずでしたが、それが徐々に明らかになっていきます。


増澤さんが挑戦したのは、各デザインごとに異なる色のインクを使って作っていったのです。3色を同時に使ってTシャツを作るのは、傍から見ても難易度が高そうで、果たしてそれが上手くいくかどうかは、シルクスクリーンをTシャツのボディから話すまで分かりませんでした。


小さいスキージを使ったあと、最後の仕上げとして、大きなスキージも使って念には念を入れてインクをのせていきます。シルクスクリーンを使ったTシャツづくりはシルクスクリーンを持ち上げるまで結果が分かりません。果たしてどんな結果になったのでしょうか。

最高の出来栄え感がそこにあった。


少しばかりインクが多めにのっている部分があったものの、3色のインクそれぞれがきれいにデザインとして現れたTシャツがシルクスクリーンを外した先にありました。ちょっと色が被った箇所さえ味になっています。

今回すごく面白かったのは、お二人がそこにある材料だけで、どうアレンジをしてやろうかと、手作りTシャツづくりを最大限面白がってやってくれた結果、想像以上に素敵なデザインの作品が出来たことでした。

Tシャツづくり体験を終えて


今回のTシャツづくりについての感想を、森永さんと増澤さんのお二人に伺いました。

ー実際にTシャツづくりを体験して感じたことを教えてください。

森永

シルクスクリーンは子供の頃年賀状作りでやったきりだった上に、ハガキサイズだったので、今回こんな大きさの柄をむらなくできるのだろうかと不安でしたが、想像以上に簡単でした!もっと他の色でも試してみたくなりましたね……同じ柄ばっかり家にあっても仕方ないんですが増産したい気持ちが(笑)

増澤

人生初めてのシルクスクリーンを使った染物でした。デザインは無料の適当なロゴ作成アプリで3分で作りました。特に、トレイルはまだはじめていません。着たくなるアホさが手作りの醍醐味を感じました。

ー作るときにいちばん気をつけたことを教えてください

森永

やる前はムラにならないように、を気をつけようと思ってたんですが、実はあまりそこは気にせずとも大丈夫なのがシルクスクリーンなんだなと気づきました。

増澤

スキージで伸ばすところが一番難しく気を使いました。作り終わってから気付いたのですが、インクをこそげ取るべきでした。Tシャツにインクが乗りすぎました。あとは、すぐにシルクスクリーンを洗うことですね。


ー今回のTシャツづくりで、一番楽しかったこと、伝えたいことを教えてください。

森永

シルクスクリーンって増産に向いてるなと思ったので、Tシャツだけじゃなくてトートバッグとか、色んなものにプリントできるし、そういうデザインを1個作ればグッズも作れるし、夢が広がりました。

増澤

シルクスクリーンのデザイン型を一度つくれば、あとは、さまざまな色や、さまざまな生地のTシャツにプリントすることができるということは、イベント会場で子供たちと一緒に、そのイベントのデザインで、オリジナルTシャツを作れるのでは?と、実際に自分が関わっているイベントでやってみたくなりました。


今回、本当にお二人はTシャツづくりを楽しんでいただけたようで、シルクスクリーンがあればオリジナルTシャツは量産出来ることから、早速Tシャツだったりインクの追加購入を検討しているって話もありました。こうやって気軽かつ、なかなか手作り感が味になるクオリティの高いTシャツづくりが、パン作りやお菓子づくり、その他DIYのような感覚で、いろんな人が楽しんでくれるシーンが増えてほしいものです。

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